Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第56章 炎の中■
「ルーナさん!!!」
突然背後から大声が聞こえ、口をハンカチで塞いだまま振り返ると、そこにいたのはフロックだった。
「危険です!!これ以上進まないでください!!」
「でもまだっ…」
「ダメです!もう無理です!諦めましょう!」
びしょ濡れのフロックは必死になってルーナの腕を掴む。
「ルシファーを見殺しになんてできない!」
「そんなこと言ってる場合じゃっ」
「ニャァァァー…」
微かに聞こえた鳴き声に、2人とも動きを止めて耳を澄ませる。
もう一度鳴き声が聞こえた。
しかし、広すぎるこの場所は、煙と炎でどちらに進んでいいのか分からなくなっている。
ルーナは意を決したように目の前の炎を飛び越えた。
「ちょっと!ルーナさ」
「フロックあなたは戻ってて!!私が行くから!」
振り向かずにそう言って進んでいってしまうルーナ。
フロックも覚悟を決めた顔になり、ルーナの後を追った。
驚いたようにフロックを見るルーナに咳き込みながら言った。
「ならせめて、俺から離れないようにしてください。」
「おい!これはどういう状況だ?!」
騒ぎを聞き付けて来たリヴァイに、周りは一気に顔を強ばらせる。
ルーナを止められなかったことを責められるのを覚悟しながら必死に火を消そうと奮闘する。
「原因は分からないのですが…」
「今のところ厩舎に火は移っていないようですが馬は全て避難させました!」
「でも、なっ中にっ…」
「中に誰かいるのか?!」
「る、ルーナさんと…それを追いかけてフロックが…」
その瞬間リヴァイは凄い形相になって瞬時にバケツを引ったくり水を被ると、もうひとつ水の入ったバケツを持ち、誰もが声を発する間もなく火の中へ飛び込んで行った。