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Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛

第56章 炎の中■


「増えるためだけに生かされている。生命なんてそうやって永遠に苦しみを繰り返すだけの無価値な存在さ。」

ジークの瞳は寂しげに揺れ、視線は本に落とされた。
ルーナもそれに視線を落としながら、ゆっくりとした口調でしゃべりだす。

「ねぇ、ジークさん…一つだけでも、生まれてよかったって想える思い出ってないの?私はあるよ。これを経験するだけのために生きてたんだなぁって、思えるようなことが…」


リヴァイと出会うためだけに生まれてきたと思ってる。
本当に、たった一つのそれだけのことで、私は生まれてよかったって、思えた。

今までの何年間もの思い出が、脳裏に断片的に蘇っていた。
とても、幸せだった。



ジークの目は寂しげに揺れている。
ルーナは続けた。

「なんでもない日常。もしかしたら本当に無価値とも言えるような瞬間。一緒に眠ったり、喧嘩したり、笑いあったり…私は…なんでもないそんな一瞬一瞬で…それだけのために生きてるんだって、思う時が…」

気が付くとジークは固まったように動かなくなっていて、ルーナは訝しげに見つめながら、返事が聞きたくてまた口を開く。


「増えるために必要ではないことだけど…そういう一瞬だけがとても大切で、生きている意味のある、価値のある、ものなんじゃないかって…」


ジークは僅かに目を見開いて、遠くを見るような目をした。

「あぁ…そうだ…ただ投げて…取って…また投げる。それを繰り返す」


「…え?」

「なんの意味もない…でも確かに…俺は…ずっとキャッチボールしてるだけで良かったよ…」

「キャッチボール、私もしたことあるよ。その日は天気が良くて、澄みきった空を見上げただけで、とても心地よかった。」

ルーナは笑みを浮かべ回想するように上を見上げながら言った。


「天気が良いなんて、そんなどうでもいいような事でも…それに気づけるような瞬間が、本当は一番大切なことなんじゃないかって、思うの。」


ジークの頭の中には今、クサヴァーとのキャッチボールの思い出が蘇っていた。

あの時の空は…いつもどんなだった?
天気は…よかったのか?
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