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Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛

第56章 炎の中■


「でも生まれたからには生きたいと思ってしまうのはなぜなんだろうな。そして生きてくからには自分の使命を全うしようと思ってしまうのは…」

俯いてゆっくりとした口調でそういう彼からは、苦痛が滲み出ているように感じる。


「私だって、何度も死んだ方がマシだと思ったことがある。生きるために生きてるのではなく、死ぬために生きてるんだと思うことも…」

生きることは病であり、眠りはその緩和剤、死は根本治療。
そう昔から思ってきた。

「生き方を学ぶために生きているんじゃなく、最初から死に方を学ぶために生きている気さえ…」

ジークは顔を上げ、本に視線を落としながら言った。

「あらかじめ死を考えておくことは、自由を考えることと同義だと思ってる。…人は、生まれ、ほんの一瞬生き、そして死ぬんだ。ずっとそうだ。希望を持たずに生きることは、死ぬことに等しい。」

死ぬ覚悟ができていれば、人は自由に生きられる。

ルーナはハッとしたように目を見開いた。

「その通りだね。私も、夢だけのために生きているようなものだから…」

だからあなたの計画には従えない。
やるべきことを遂行し、エレンに希望を託す。

ジークは僅かに口角を上げながら長い息を吐いた。

「君はいいな。いろんな人間に愛されているように見える。思いもよらなかった、あいつにさえも……今日でその理由が少し、わかった気がするよ…」

ルーナは笑った。

「私はずっと、愛される価値のない存在だと思っていたから、誰かを愛そうとしたことなんかもなかった。でも…あの人が私を愛してくれてから、自分が自分にとってどれほど価値あるものになったか… あなたに巨人にされるくらいなら、あの人に殺される方が何百倍もマシ。」

独り言のように呟いてしまった自分にルーナはハッとなった。
訝しげに口を噤んでいるジークと目が合い急いで立ち上がる。

「ごめんなさい。喋りすぎちゃった。もう戻らないとっ」

「何も感じずに君から何かを奪える人間はいないだろうな…」

ルーナは振り返った。
ジークはなんでもないというふうなジェスチャーを振った。
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