Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第56章 炎の中■
エレンが幽閉されていること、ジークが移送されること、それは決して外部に漏らしてはならない。
そして世間には戦勝と報じる他ないのだ。
「ルーナさんは、どのような信念を持っておられるのでしょう?やはり調査兵として長年人類に心臓を捧げてこられたからには、さぞ素晴らしい覚悟と信念を持っておられるかと…」
その言葉に、ルーナは一瞬押し黙った。
違う…
私は自分のためだけに戦っている。
調査兵に入った時からずっとそうだ。
初めはエルヴィンとの夢のため、
そしていつしかそれは…
リヴァイと最期の瞬間まで生き抜くと誓い合って、リヴァイに会うためだけに毎回生き残って、そしてリヴァイと子供を授かったり、幸せな暮らしを夢見て…
ただそれだけのために戦っている。
つまり最初から今もずっと、自分のためだけに戦っている。
そのために屍の道を歩き続けているだけだ。
大層な信念なんてない。
「私はただ…生きていたい。それだけです。」
ポカンとした表情になる記者たち。
そのとき、ガチャと突然扉が開く音がしたかと思えばリヴァイが入ってきた。
ルーナまでポカンとした表情になり、空いた口が塞がらない。
まさか会えるとは思っていなかったし、しかも今この瞬間に部屋に戻ってくるとも思わなかった。
だから自室にこうして記者を入れていたのだ。
やばい…
リヴァイはきっと風呂に入って着替えに来たに違いない。
「りっ、リヴァイ兵士長!お邪魔しております!」
2人の記者は即座に立ち上がりお辞儀をした。
リヴァイは仏頂面のまま愛想のない返事をし、なぜだかルーナの隣に腰を下ろした。
「えっ…と、ごめんなさい。向こうの談話室で…」
「いやいい。俺に構わず続けろ」
「えぇっ?」
その言葉に、記者はたちまち目を輝かせた。
リヴァイとルーナというこの2人を同時に前にして取材ができる機会などないからだ。
「ありがとうございますリヴァイ兵士長!さっそくなのですが!リヴァイ兵士長は今回の戦勝についてどのようなご感想をお持ちでしょうか?是非お聞かせ願いたいのですが。」
待ちわびるような目を向けてくる記者たちに、リヴァイは睨むような視線を突き刺したあと、静かに言った。