Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第54章 幸福の香水
「すまん…あの女に帰り際香水を吹きかけられたんだ。」
「えぇ?」
「それからな、当然の話だが、俺はあいつと何もしてないからな。お前の指示通り話だけして帰ってきた」
そう言ってリヴァイが体を離したとき、ようやくルーナはその口元に打たれたような痣があることに気がつき一気に顔を強ばらせた。
「ちょっ…と…リヴァイ…」
ルーナの視線に気がついたようにリヴァイが痣を指で触った。
「こんなのただのかすり傷だ。気にするな」
「気にするよ!ごめん…本当に…」
「なぜ謝る。お前が謝ることじゃねぇだろ」
真顔でそう言い捨ててそそくさと風呂場へ向かっていってしまった。
ルーナはもうやるせなさと罪悪感で胸がいっぱいだった。
散々嫌がっていたリヴァイを強引に屋敷に行かせた挙句、恐らくあのお嬢様にぶたれたであろう傷まで負わせてしまった。
ここまでしてまでやる価値はあったのかと今更ながら後悔が押し寄せる。
ルーナは深くため息を吐きながらベッドに横向きに寝そべった。
本気で自分の愚かさを呪ってしまう。
にゃ〜という声がするが、そちらを向く気にもなれずとにかくひたすら胸の痛みに耐えていた。
風呂から上がったリヴァイは、寝室へ行くと、既にルーナが横になっていて、しかもルシファーまでいるので顔を険しくした。
さすがに寝室にまで獣を入れたくはない。
「おい…お前はあっちいってろ…」
ルーナを起こさないようになるべく静かに言った。
しかしもちろん猫に話しかけても何の意味も無い。
ルシファーはリヴァイを無視してルーナが使っている鏡台の椅子へ上り蹲った。
「まぁベッドにさえ上ってこなけりゃよしとするか…」
時計を見るともう0時だ。
訓練で相当疲れているであろうルーナが寝ずに自分を待っていてくれたのはとても嬉しかった。
だが目の前には疲れきったように寝息を立てているルーナがいる。
抱きたい欲はもちろんあったのだが、起こさないようになるべく静かにベッドに潜り込み、愛しいその身を包み込んだ。