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Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛

第54章 幸福の香水


「わたくしはまた…恋ができるとは思えない…いくら愛していたって、裏切られる…」

「心配しなくとも、君はきっと大丈夫さ。
心は、心が望んでいるものを望むんだ。そこにロジックなんてないよ。誰かと出会って恋に落ちる。ただ、それだけさ…」

頭に手を置いてあやすように言うエルヴィンに、子供扱いしないでと言いたくなってしまう。
けれども、その大きな手は、いつも暖かくてそしてその時の眼差しも…

「過去に傷つくこともある。だが過去が前に進む原動力になり、過去から学ぶこともできる。」

「でももうわたくしは誰のことも信じられないのです。目に見えるものしか信じられない…」

「信じるのは自分だけでいい。時には裏切られたり悲しい目にあったりするかもしれない。それでも相手を信じ続けた自分を信じるんだ。そうすれば最後はうまくいくさ。それに…」

…人は人に捨てられたりなんかしない。自分が自分を捨てることしかできない。

そう最後に言って彼は優しく笑った。






「スミス様に教えられたことはたくさんありました…全ての言葉が、私の宝です。でも…言葉だって目には見えないでしょう?そして時が経てば、いずれ薄れていく…」

グイと思い切り手を引かれ、リヴァイはため息を吐いてカサンドラを押し倒した。
香水の香りが勢いよく体内に入り込んできて、思わず顔を顰める。

「昔、別の女にも言ったが、寂しさを埋めようとするだけの行為はやめた方がいい。後になって虚しさと後悔だけが募る。心の溝は深まるだけだぞ。」

カサンドラの顔の横に両手をついて冷たい目で見下ろす。
彼女は真顔のままだ。

「なにもかもが変わっていく瞬間がある…今まで散々嘆いていたことが、突然、どうでもよくなるの…」

「…あ?」

カサンドラは手を伸ばし、リヴァイの頬を撫でた。

「…チッ…お前は…葛藤し続けているだけだろう。現実を認めたくない自分がいて、現実を受け入れろという自分もいる。現実を認めなければ今を生きていくことはできねぇよ。悪いが俺は、エルヴィンのようにお前を甘やかすことはできねぇ」

そうしてリヴァイは起き上がった。
するとカサンドラはたちまち涙を流し始める。
それを横目で見ながらリヴァイはため息を吐く。

「スミス…様…スミス様…」

「・・・」

繰り返し呼ぶその名前にますますリヴァイの眉間に皺がよる。
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