Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第54章 幸福の香水
「そんなこと…どうでもいい。わたくしは…お母様を裏切った父を憎んでいる…」
「人間はそんなに強くねぇ。どんなに無傷に見える奴でも、本当は飛んで会いに行きたい奴がいて、もう二度と会えねぇ奴がいたりもする。死にてぇ夜があってもあえて言わねぇようにしている奴も世の中ごまんといる。お前の親父だって同じはずだ。」
みんな何かに酔っ払ってねぇと やってらんなかったんだな…
みんな何かの奴隷だった…
俺が…見てきた奴ら… みんなそうだった…
酒だったり… 女だったり… 神様だったりもする
一族… 王様… 夢… 子供… 力…
「皆なにかに酔っ払ってねぇと…やってられねぇ世の中なんだ…俺も、お前も、お前の親父だって、皆そうだ。」
リヴァイは眉間に皺を寄せているなんとも言えない表情のカサンドラの顎を解放する。
「お前だって同じだ。こうして物や人に酔っ払って溺れてねぇと、正気が保てねぇんだ。」
リヴァイは長い息を吐いたあとテーブルの上の美しい食器に盛られているキャンディーを一つ取った。
「は、喋りすぎたな…」
そう言って紙を剥がして1つ口に放り込んだ。
甘酸っぱい唾液が広がっていく。
なんの味かはよく分からない。
この間ルーナに口に入れられたもんとは違うことだけはわかる。
こうして舐めているだけの食い物はどうも煩わしくなるのはなぜだろうと思った。
「貴方様のような男性に愛されている奥様は、とても幸せですね…」
リヴァイは飴玉を口の端に寄せながらゆっくりとカサンドラを見る。
彼女の姿形は、ただ座っているだけなのにやはりアンティーク人間のように様になっている。
たくさんの男が言い寄ってくるのは至極当然だと思った。