Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第54章 幸福の香水
1口2口、味わうように口に含んだ。
そして目を見開く。
新芽の希少な部分を使ったものだからか、まろやかで優しい口当たり。
華やかな香りと深みのある渋味と旨みはまさしく最高級品といった感じがする。
隣にいるのがこの女でなければとても満足なのだが…
そう思いながら目を細めカサンドラを横目で見る。
カサンドラはリヴァイの反応を気に入ったのか嬉しそうに笑って自分の紅茶を啜りだした。
「で?俺はお前とどう遊んでやりゃあいい?悪いがエルヴィンと同じことはしたくねぇから違う遊びにしろよ。」
突然にそんな話を切り出され、カサンドラが目を丸くする。
しかし、徐々に艶かしい表情の顔が近づいてくる。
リヴァイは避けるように顔を逸らした。
「ふふふ…こっちを向いてくださいな」
「…俺はエルヴィンと同じことはしねぇと言ったはずだ」
「だから違うことをしているではありませんか」
いや、嘘だな。
あいつなら恐らくキスくらいは当然のようにしていただろう。
夜会の現場でも実際に貴婦人にそういった対応をなんなくしている場面を見たことがあるくらいだ。
いつまでも顔を逸らしているリヴァイに、カサンドラは諦めたように手を握る。
その手指には指輪が嵌められている。
それを自分の目線まで上げて、カサンドラはじっくりと眺めだした。
リヴァイは鋭い目線を彼女へ向ける。
「ねぇ…リヴァイ様…結婚とは良いものですか?」
その言葉に冷たく無機質な声で答える。
「さぁな。そんなもんは形だけで、中身は何も変わらねぇ。いつまで経っても傷つけ合ったりもするし離れたりもする。誓いなんてもんは所詮形だけに過ぎん。」
「そうでしょうね…いくら愛し合っていても永遠なんてないのですから…」
その言葉はどんな言葉よりも残酷な響きだ。
広く美しい部屋が、その言葉だけで一気に歪み出したように感じた。