Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第54章 幸福の香水
「えぇ。もちろん存じ上げておりますわ。亡くなってしまったと聞いて…とても残念でなりません。」
眉を下げ、翡翠のような瞳を細めた。
真っ白な肌に、桃色のチークが相まって、長いまつ毛と僅かに施してある化粧がまさに人形のような堀の深さと影を作っている。
「率直に聞くが…あいつとはどういう関係だったんだ?」
「どういう…そうですね。あのお方はわたくしのことをとても可愛がってくださいましたよ。」
至極冷静に答えられ、リヴァイの眉がピクリと上がる。
それはどういった意味だろうか?
あいつはこいつのことを抱いたりしていたのか?
リヴァイが何か口を開きかけた時、目の前に美しい絵柄のティーカップが運ばれてきた。
執事がそのカップに注いでいく紅茶の湯気を見つめる。
今までに嗅いだことの無いほど良い香りが辺りにたちこめる。
この女が香水を付けていなければ、もっと良い香りだろうと思った。
「ゴールデンディップスです。」
「なに?」
それはまさに最上級の茶葉ではないか。
高品質で収穫量も少なく非常に希少価値のあるそれはさすがに味わったことがない。
こんなところで出会えるとは…
いやこんなところだからこそか…
カサンドラはリヴァイの表情が僅かに変わっていることに気が付き、嬉しそうに言った。
「リヴァイ様、是非お気に召すと思いますわ。どうぞ飲んでみてください。」
しかしリヴァイは眉間に皺を寄せたままカップを手にとろうとしない。
何が混入しているか分からないからだ。
妙な薬でも仕込まれていたら終わりだ。
カサンドラはそれに気がついたのか、小さく笑ってリヴァイのカップを手に取り口をつけた。
「んふ。とっても美味しい。やはりこの茶葉は加工にも手間ひまかけているだけのことはありますわ。」
はい。とそのままカップをリヴァイに差し出した。
毒味をさせることに成功したリヴァイは、差し出されたカップをいつもの持ち方で上から掴む。
ゆっくりと鼻を近づける。
素晴らしいの一言に尽きる香りだ。
しかし1度この女が口をつけたものを飲むのも気が引けるが…好奇心は抑えられない。