Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第54章 幸福の香水
煌びやかで豪勢なその一室。
相変わらずビスクドールのような美しい女はリヴァイの手を取って自分の隣へ座らせた。
ふかふかとした高級感のあるソファー。
大理石の床に何かの獣であろう本物の毛並みが光る絨毯。
ガラスの大きなテーブルには、様々な酒やグラス、茶菓子やつまみなどあらゆるものが綺麗に並べられている。
そこかしこの棚もそうだ。
様々な装飾品や絵画の数々がこの広い部屋をより美しく見せるためだけのようにバランスよく飾られている。
「来てくださって嬉しいわ。今まではお忙しいと言って散々お誘いを断られてきましたのに…」
「忙しいというよりも、単純に時間を作るほどの興味がねぇだけだ」
「まぁ、相変わらず辛辣ですのね…」
上品に微笑みながらまた手を重ねてくるカサンドラを跳ね除けることはできない。
結局ルーナと会えずじまいでここへ来ちまった。
くそ…
あんなメモを渡されても俺は言葉だけでこの場を潜り抜けられるとは思えねぇ…
「ねぇ、とりあえず乾杯しません?リヴァイ様はどういった種類のお酒がお好みかしら?」
「いや、酒はいい。昨夜も飲んだからな」
「あ、そういえばリヴァイ様は紅茶がお好きなんだとか?では最上級のものをお持ちしますわね」
そう言って近くにいた執事になにやら指示を出すカサンドラを横目で見やる。
確かに美しい女だとは思う。
が、全くそそられないし興味すら湧かない。
それどころか嫌悪感すら感じてしまうのはやはりたった1人の女しか見えていないからだろう。
それ以外の女に触れられることがこんなに嫌なことだとは気が付かなかった。
こいつも俺の何がいいんだかさっぱり分からねえ。
執事がいなくなってから、リヴァイは気になっていたことを質問してみた。
自分から話しかけるのはこれが初めてだろう。
「なぁ…お前はエルヴィンを知っているよな?」
その言葉に可愛らしく目を見開いたかと思えば、話しかけられたことが嬉しいのかくすくすと笑いだした。
まるで小鳥のさえずりのようだ。