Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第53章 板挟み
残された2人はどちらともなく脱力したようにソファーへ座った。
ルーナはとっくに冷めてしまった紅茶を啜って乾いた喉を潤す。
そして意を決したように口を開いた。
「リヴァイ…あのね…」
「もういい。」
「え?」
「屋敷に行けばいいんだろ。この兵団存続のために俺の体1つ開け渡すくらい、どうってことねぇよな。」
ルーナはもちろんそんなことにはなってほしくはない。
ならば、手段は1つしかないと思った。
「リヴァイ聞いて。やっぱり…行かなくていい。あのお嬢様とは縁を切っていいよもう。」
「あ?」
リヴァイは驚いたように目を見開いてルーナを見る。
そして次の言葉でみるみる驚愕の表情になった。
「私が別の貴族の所へ行ってくる。そこで資金調達できるように上手く取り計らって…」
「なんだと?!ふざけるな!」
案の定声を荒げられたが、ルーナは冷静沈着な態度でリヴァイと目を合わせる。
「俺はさっき言ったよな?理由がどうあれ、お前が俺以外に体差し出すようなことがあったらただじゃおかねぇと…殺されてぇのか!」
「違う。私だってこう言ったはずだよ。私なら話だけでどうにかできるって。」
リヴァイはルーナの真剣な瞳に目を細め、力を抜く。
「んなこと…本気でできると思ってんのか?」
「私ならできる…はず…」
「ダメだ。お前がそんな馬鹿げたリスクを背負うなら俺が行く。」
リヴァイは立ち上がり、風呂に入ろうと服を脱ぎ始めた。
その様子を見ながらルーナが眉をひそめて言う。
「…どうして?だってあんなに嫌がってたのに」
「俺の体なんかよりも!お前の方が大切だからに決まってんだろ!」
そう強く言い放ちづかづかと風呂場へ行ってしまった。
ルーナは彼を深く傷つけていることを自覚し胸を痛くした。