Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第53章 板挟み
バリスに真剣に制されて、リヴァイはなんとか手を離した。
3人とも荒い息を吐きながら沈黙する。
「バリス。お前はどう思うんだ。」
「えっ…」
「ねぇバリス、私の言っていること、分かってくれるよね?」
「え…」
突然2人の鋭い眼孔が突き刺さり、その気迫だけで圧倒されてしまう。
交互に見つめてたじろいでいるバリスに追い打ちをかけるように2人が言う。
「なぁ、俺は間違ってねぇよなぁ、バリスよ…」
「私は、しっかり現実を見て発言しているよね、バリス」
「…あ……は、い、…えっと…」
どうしていいか分からない。
なんと答えていいのかも分からない。
こんなに返答に困ったことは生まれて初めてだとバリスは思った。
「バリス、お前はどちらかというと、元々俺の部下だよな?」
「なっ、なにそれ?だからってバリスを味方につけようとしてるわけ?」
「俺の腹心だと言ったのは本人だ。」
「だからってそれとこれとは話は別でしょ!バリスは私の大切な部下でもある。」
ルーナが精一杯リヴァイを睨みつけた。
リヴァイは横目で見やってから腕を組んでバリスに視線を移した。
「いいだろう。なら本人に聞こうじゃねぇか。バリスよ…お前はどっちの味方なんだ?」
リヴァイのカッと見開いた目で心の奥底を覗き込まれるように睨まれる。
ルーナも同じような表情で真っ直ぐと見つめてくる。
なぜ…こんなことに…
いつの間にか、2人の板挟みになっている自分に困惑を隠しきれない。
バリスは全身を震わせながらなんとか声を絞り出す。
「えっ…と…すみません…正直僕は、なんと言っていいのか…僕が意見できるようなこと、では…ない…と言いますか…」
「そんなことはねぇ。お前の意見はいつも重要だ。」
「そうだよバリス!いつだってあなたは正しいんだし!」
「えっ…!」
そんな期待するような目で言われてはもう本気で頭が真っ白になる。
しかし、こうなったらもう思っていることを素直に吐露するしかない。
バリスは拳を握った。