第53章 板挟み

「てめぇそれはどういう意味だ？俺にあいつの屋敷へ遊びに行けってのか？」

ルーナは至って真剣な顔でリヴァイを真っ直ぐ見つめた。

「だって…それしかないでしょう？あの娘が求めているのは他ならないリヴァイだけなんだから誰かが代わるわけにも行かないし。」

「行ったら何をやらされるかくらい分かるだろ？知っててお前は俺に行かせるのか？」

「それは…」

もちろんどうなるかくらいは分かるが、そうならないような対処法はあるはずだ。

「リヴァイが器用に立ち振る舞えば、そうはならないはず…」

「は…てめぇふざけるのも大概にしろよ？俺がそこまで器用じゃねぇことくらい知ってるだろ。エルヴィンじゃねぇんだぞ俺は。」

「わ、わかってるけど、そんなこと言ってたら何も解決しないじゃない。」


無言の睨み合いが始まった。

バリスは自分がここにいてもいいものかと思いながらも、とにかく目を見開いて固まったまま2人を見つめる。


「…お前は…兵団のためなら俺があの女とセックスしても何も感じねぇということだな？」

「っ、違うったら。どうして分からないの！とにかく」

「俺があの女を抱かずに帰ってこられると思うか？あの女が抱かれねぇまま俺を簡単に帰すと思うか？」

ルーナが目を見開いてついに立ち上がった。
バリスがヒュッと息を飲む。

「なぜそんな言い方をするの！リヴァイならそうならずにどうにかできるはずだから私は信じてるって言いたいの！」

「なら屋敷に行って俺が何をどうすりゃいいのか教えろよ！」

リヴァイまで立ち上がり、バリスは必死に2人を止めに入る。

「ちょ、ちょっと…あのっ、お二人とも落ち着いてください。」

しかし2人はバリスには目もくれずに睨み合っている。