Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第53章 板挟み
バリスも考え込み、何か口を開きかけた時、ガチャと扉の開く音がした。
「っ…バリスか。」
「お疲れ様ですリヴァイ兵長!お邪魔しております。」
「いい。座ってろ。」
即座に立ち上がり敬礼をするバリスを手で制してからリヴァイはジャケットを脱ぎクラバットを取り去りシャツのボタンを外し始めた。
今日のリヴァイはカサンドラのこともあってかとても不機嫌そうだ。
バリスは妙な緊張感が走り、おずおずと紅茶を啜った。
目の前のルーナをふと見ると、彼女は何処吹く風と言った具合に菓子を頬張っている。
緩く着崩した状態でリヴァイがルーナの隣に腰を下ろした。
「あ、リヴァイにも紅茶いれるね。」
「いい。それよりなに呑気に茶会なんかしてやがるんだ」
立ち上がろうとしていたルーナはまた腰を下ろし、不機嫌なリヴァイの目の前に菓子を置く。
「美味しいよこれ。ねぇバリス?」
「えっ!…あぁ、はい…」
リヴァイがその菓子に視線を落として睨みつけた後、そのままの視線をギロリとルーナに突き刺す。
「飴玉といい菓子といい…お前は俺をガキ扱いしてんのか?」
「え、なにそれ。違うよガキだなんて…
でもすぐにそうやっていきり立つから、脳に糖分が必要かなって…」
「あぁ?てめぇふざけやがって。ガキじゃねぇってんなら、俺をなんだと思ってやがるんだ」
「ほらそうやってすぐ怒る。あのお嬢様のことでイラつくのは分かるけど…仕方の無いことなんだし…」
「…クソが」
リヴァイは背もたれに肘をついて額に手を置き、心底疲れたというように目を逸らした。
ルーナは、もう…と言った表情でため息を吐き紅茶を啜っている。
バリスは目の前の2人にオロオロするしかない。
とにかく空気がピリピリと張り詰めていくのがわかり、冷や汗が流れる。
「ねぇ、とにかく話し合おうリヴァイ。」
リヴァイは視線を逸らしたままだが、ルーナは続ける。
「カサンドラ嬢の機嫌は、ある意味この兵団の命でもある。もちろんリヴァイには申し訳ないとは思ってるけど…屋敷に誘われているならこのままずっと断り続けるのはちょっと…」
その言葉についにリヴァイの鋭い眼光がルーナに向く。