Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第53章 板挟み
「さっきはありがとうバリス。さすが、なんでもお見通しだね。…はい。食べて食べて」
ルーナは自室にバリスを連れてきて紅茶を差し出し、皆に配った菓子もいくつかバリスの前に置いた。
「…いえ。僕にできることなんてたかが知れてますけど。あ…こんなにありがとうございます」
紅茶を啜りながら少々緊張した面持ちで視線を泳がせる。
この兵長夫妻の部屋に入れるのは自分だけだというのは純粋に嬉しい。
いつ来てもピカピカだが、2人の絵があったり2つの水晶やその他もろもろ、僅かながらやはり生活感というものを感じさせる。
2人の愛の巣に自分なんかが入っていいのだろうか、といつも思う。
おずおずと目の前の菓子を齧ってみる。
「ん…美味しいですねえ。」
ルーナも1口食べてみると、それは贅沢なバターやミルクをふんだんに使っているような甘みと風味で目を丸くした。
中央の会議で出されるものよりも遥かに美味だ。
「っ。ホントだ。いつもなかなか食べられないものをくださるからありがたいよね。」
ルーナは向かい側で嬉しそうに菓子を食べ、紅茶を飲んでいる。
バリスはその様子に少し安堵する。
彼女がくつろいでいるところなど、ここ数年ほぼ見た事がない。
「ねぇ、バリス。あのカサンドラ嬢のことなんだけど…あれ以上のことを求められたらどうしたらいいと思う?」
バリスは、うぐっとおかしな音を立てて口の中のものを飲み干した。
「えぇっ?やはり兵長に何か求めてきた…のですか?」
まぁ何かというのは分かりきったことではあるが…
と思いながら冷や汗を流す。
「うん…知っての通り、彼女はこの兵団にとって大きなスポンサーだから…リヴァイはもちろん嫌がってはいるけど…無下にもできないしどうしようと思って…」
ルーナは本気で困っているという表情を浮かべ始めた。
こんな表情や態度を見せるのはバリスに対してだけだ。
それをバリス自身も分かっている。