Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第53章 板挟み
自身の部下への訓練はカサンドラのせいで一旦中止していたリヴァイはそのままの足で訓練中のルーナを呼び止める。
何も言わずに睨みを効かせながらルーナの前に乱暴に紙袋を押し付けた。
目を見開いたままそれを受け取り、ああ…と気がついたようにルーナが苦笑いする。
「またお嬢さまが来てらしたのね。」
「もう俺は限界だ。あの女、ついに脅し文句のようなものまで付けてきやがった。」
「え?」
「屋敷に来いとは今までも散々言われていたが、見返りとしてどうこうと…俺のことを玩具のようにしか思ってねぇだろ。」
リヴァイが相当いきり立っている。
ルーナはそんなリヴァイを苦笑いしながら兵舎内に引っ張って行った。
部屋に入り、ひとまず紙袋の中身を確認する。
箱を開けるとフィナンシェのようなたくさんの菓子が綺麗に並べられている。
「また凄く豪勢なものをいっぱい…後で皆に配らなくちゃ。」
「んな呑気なこと言ってる場合か。俺はどうすりゃいい。あの女の屋敷に行くなんざごめんだ」
「まぁリヴァイ…機嫌を直してよ」
そう言ってルーナがキスをしてきた。
舌が入り込んできて、そして絡まったかと思えば何かを口に入れられた。
果物のような甘ったるい唾液が口の中に広がる。
「っ…てめぇ…飴玉1つで俺の機嫌を直そうってのか?ガキじゃねぇんだぞ俺はっ…」
頬に含んでそう言うと、また口を塞がれ今度はそれを舐め取られた。
「じゃあ返してもらう」
好戦的な目でそう言われ、リヴァイの頭に血が上る。
苛立ちをぶつけるように噛み付くようなキスを落とし、無理やり舌を差し入れ乱暴にそれを奪い返した。
唇を離し、心底不機嫌な顔でジャリッと奥歯で飴玉を潰す。
それを見てルーナが申し訳なさそうに笑った。
「そのキャンディー、美味しくない?」
「…あぁ??」
「んな怒らないで。ごめんね、また今夜話そう。」
今は訓練に戻らなくちゃならない。
そう言ってルーナは禍々しいオーラを放つリヴァイの手を引いてまた部屋を出る。
ジャリジャリと何度も飴を噛み砕きつつ、ルーナの後ろ姿を睨みつけながら引きづられるようにして訓練に戻って行った。