Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第8章 帰還■
「お、おい、勝手に触るな。危ねぇぞ」
リヴァイの止める声も聞かず、ルーナは手に取ったナイフを眺めながら何度も角度を変え、指を滑らせた。
潔癖症だからだろうか?良く手入れされているようで新品のように綺麗だ。
よく目を凝らして見ないと、刃の細かい傷は分からないくらいだが、とても使い込まれているのだろうとルーナには想像できた。
「よせ。ほんとに怪我するぞ」
リヴァイが怪訝そうな顔で今度こそ止めようとベッドから身体を起き上がらせ近寄ろうとすると、
「大丈夫だよ」
とナイフをもったままルーナは笑顔で振り返り、片手でクルクルとナイフを回しながら芸当のように器用に弄び始めた。
リヴァイは信じられないものを見るように目を丸くした。
「は……?」
おい...うそだろ...
ルーナのその動きは明らかにナイフを使い慣れているそれであり、
幼い頃からそれ1つで生きてきたナイフ使いのプロだと自負しているリヴァイでさえも、あっと驚かせた。
まるでアイツみてぇじゃねぇか……
口を半開きにしたまま声を出せないでいるリヴァイに気付き、ルーナはクルっとナイフを持ち直し、手の動きを止めた。
「私の家には医療用の色んなナイフがいっぱいあったんだよ?親に触るなって言われれば言われるほど、隠れて遊んじゃうのが無邪気な子供ってもんでしょ?」
「・・・無邪気って...お前...
ナイフ振り回しながらそれ言うか?」
リヴァイは、言葉遊びまで奇妙な女だと思いながら呆れた顔をした。
つーか……
そもそもそれだけでそんな使い慣れてる風になるのか?
…まぁでも…俺だってガキの頃からそれが遊び道具だったとも言えるから同じことだが……
そんな思いとは裏腹に、ルーナはもう1つのナイフも手に取り、またクルクルと遊び始めた。