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Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛

第53章 板挟み


"リヴァイが言うなら思い切ってショートにしちゃおうかな…でもどのくらい切るべきだと思う?"

"このくらいか?
お前の髪は真っ直ぐだから随分綺麗に揃うんじゃねぇか。その可愛い顔もすっきり目立つだろうしな…"

顎のラインを指で押えながらそう言われた。
もう何年も前のことだ。

あれから結局、何度切っても胸元当たりで揃えている。
リヴァイとのこの会話を忘れていたわけではない。

そうではなくて単純に…


「忘れてないよ。ちゃんと覚えてる。でもなんか…バッサリ切っちゃうの勿体ないんだよね。それにね、私のショートヘアーは、この島が平和になってからあなたに見せたい。」

そして驚かせたい。
そういうタイミングで、なんとなくね…
それから…

「…なら俺はお前の短髪を見るためだけに戦う。それを見るまでなにがなんでも生き残るからな。」


…そう言うだろうと思った。

リヴァイの寝ぼけ眼はいつの間にかいつもの鋭い眼光に戻っていた。
ルーナは薄ら笑ってその頬を撫でる。

「うん…それでいい。そのためには…この島を平和へ導かないと…」

「そんな未来が来るといいがな…あのクソガキのせいでこの先どうなることか…」

後頭部を引き寄せ、愛しい唇に触れる。
深く甘い朝の口付けに酔いしれながらも小さく笑うルーナに不思議に思う。

こいつは…こんな状況なのになぜいつもこう落ち着き払っているのだろう。
もっと自分に弱音や愚痴を吐いたり、甘えてすがりついたりしてほしいのに、まずそういったことが不自然なほど皆無だ。
むしろ自分のほうがそういった立場になっている気さえさせる。
そんな自分の情けなさはさて置き、単純にルーナの心情が心配だ。
あれから涙だって見ていない。
きっと、上官らしく部下を不安にさせないために、いろいろ背負って気を張りつめているに違いない。
彼女は元々こういう性格でもあるが、だからこそ脆く、また精神が崩壊しないか気が気じゃない。


「なぁルーナよ…お前いろいろと大丈夫なのか。」

何も言わずにぽかんとしているルーナにため息を吐く。
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