Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第52章 新月■
"我々は各国に散ったユミルの民の難民へ援助を求めます!!彼ら難民はエルディア人であったこともなくエルディア帝国の危険思想とは無縁なのです!!"
"彼らはただエルディア帝国に交配を強いられた哀れな被害者なのです!依然憎むべきは島の悪魔共にほかなりません!"
"忌むべきは100年前よりあの島に逃げた悪魔!!
我々の敵はあの島の悪魔なのです!!"
討論会での罵声が脳裏に蘇り、ハンジは奥歯を噛み締めて俯いた。
「とにかくね…もうその団体も含め、どの国の誰もが我々を敵だと見なしていた。もう遅いんだと…そう思った。」
「ハンジ…私たちの出る幕はきっとないんだね…」
俯いたままコクリと頷いたハンジに、ルーナは目を細めた。
「でもとにかくお疲れ様。皆無事に帰ってきてくれたんだし、その事実が知れてよかったよ。私たちがやるべきことをこれから絞り込もう。」
「いや、ルーナ聞いてくれ。まだ君に重大な報告がある。」
ハンジが顔を上げて真剣な瞳で真っ直ぐとルーナを見つめたかと思えば、視線を一瞬リヴァイに移し、そして戻した。
ルーナも真剣な顔付きで次の言葉を待つ。
「エレンが…消えた」
「・・・え」
「まだ向こうにいる。」
ルーナは内心、やはりと思った。
ついにエレンは決意したんだ。
目を見開いたまま押し黙っているルーナに、ハンジもリヴァイも眉間に皺を寄せる。
彼女が心底驚いてしまっているのだろうと察した。
「エレンは…なんの考えも無しに動く子ではない。なにか連絡が来るはず。それを待とう。」
ルーナは真剣な表情に戻ってそう言った。
"俺達には時間がない。そのためには俺が手出しできねぇように…"
エレンあなたはきっとジークと接触するんでしょうね。
この島の上層部が、あまりにも決断を先延ばしにしているから…
イェレナさんが焚き付けたのもあるかもしれない。
でも全てはこの島のため。
あなたは間違ってない。
ルーナの心の内は、2人の全く知らないものだった。