第2章 初めて
「…何がだよ…」
答えなくても分かっただろうか。
エレンは聞いてから後悔した。
「…奪還作戦なんかただの口べらしじゃん……だってアルミンのおじいちゃんとかは立体起動装置とか使えたの!?」
甲高い悲鳴じみた怒りの声が静かな廊下に響いた。
エレンは何も言えなかった。……いや、言わなかった。
王政が出したウォールマリア奪還作戦と仮した大量の失業者や外から来た部外者の意図的殺害に、アルミンの祖父は指名されていた。
つまり、王政は自分達が肥えるための食料だったり生活に必要なものだったりを大量の部外者や失業者などに与える余裕も無かったし、与える気も無かった。
「…こんな王政があるなんて、おかしいよ…本当に、憎い」
「…………」
エレンは淡々と涙を流すケイトをただただ見ていた。