第2章 初めて
「…エレン、………」
「…なんだ、ケイトか…」
ケイトは開拓地の宿舎として使っている廊下の隅で膝を抱えて座っているエレンを見つけると声をかけて横に腰かけた。
エレンはそんなケイトに気づくとふわりと表情を和らげた。
ケイトもそれにあわせて微笑んだが一瞬にして険しく厳しい表情に変える。
「……アルミンが泣いてたよ…おじいちゃんが亡くなったんだって」
それを聞いたエレンはケイトの方は向かずに前を見据えて、「…そうか…」と一言だけ答えた。
「…私、憎いよ……」
突然放たれた言葉に、エレンは少しばかり驚くと、今度こそはケイトの方へ向き直り耳を傾ける。
ケイトは前しかむいておらず、その唇は噛まれ過ぎていて赤い、艶やかな鮮血がプチプチと浮いていて荒れていた。