第2章 初めて
「別にあんたの考えを否定したい訳じゃないんだ。これで手打ちにしよう」
目の前に伸ばされた右手をエレンは数秒見つめて、「…あぁ俺も悪かった」とその手のひらをパンッと音をならして叩いた。
そしてエレンは席につこうとせず、静まり返る広間から離れて、外に出た。
それをミカサが追いかける。
その背中をあわてて追いかけるアルミンにケイトははっとなってアルミンの後に続いた。
広間はいつの間にかギャラリーが手来ていてミカサの背中は見失ってしまった。
しかし外にこじんまりと座ってるエレンをアルミンとケイトは発見し、その横にゆっくりと腰を下ろした。
(………ミカサ、どこいっちゃったんだろ?)
てっきりエレンのところに一番に来ていると思っていたアルミンとケイトは二人して首をかしげていた。
するとエレンが不意に立ち上がった。
「……アルミン、宿舎に戻ろうぜ」
「…う、うん」
先程の事を思ってか、アルミンの返事は少しつまりぎみだった。
ケイトももう戻ろうとしていたところにミカサが小走りで三人のところへやって来た。