第2章 初めて
エレンの言葉を聞いてジャンはピクリと眉を反応させた。
そして口を開く。
「…心底怯えながらも勇敢気取ってるやつよりはよっぽど爽やかだと思うがな」
あ、ヤバイ。
そう思ったのも束の間。
ケイトの予測した通り、エレンは苛立ちながらその場に勢い良く立った。
そしてその大きな猫目に怒りを含ませながら吊り上げてジャンを睨み「…そりゃ俺のことか」と低い声で言い放った。
ジャンはやはり余裕の笑みを浮かべこの状況を心底楽しそうにしていて「…おいおい、俺は別に…」と、宥めるようにエレンが立った事に答えるようにしてゆっくりと立ち上がる。
数歩進んで、お互いの目の前まで歩み寄った瞬間、
________ゴーンゴーンゴーン。
夕食の時間の終わりを告げる鐘がなる。
それによってジャンははっ、と笑うと、手をさし伸ばしてきた。