第2章 初めて
男がそういうと若い兵士は納得したような顔つきになる。
………もちろん、巨人を見て、その恐ろしさを知っているエレンやミカサはどうかつを喰らわなかった。
しかし、直接巨人と対面したわけではないケイトは正直焦っていた。
(…や、ヤバい!あと六人で私の番だ!あんなに至近距離で大声出されるとか聞いてないよ!?エレンとミカサは何でか知らないけどやられてないし……)
あと自分まで六人という所でケイトはふと思った。
このどうかつには何の意味が隠されているのか。
教官は何を思ってこんなことをしているのか。
何でエレンやミカサはされてないのか。
(……あぁ、なんだ。そっか…)
ケイトまであと一人が終わった所、キース教官はずっとビクビクしていたケイトには通過儀礼が必要だと思い、面と向かって叫ぼうとした時寸での所でとどまった。
教官は一瞬ケイトを見て目を見開いたがそのまま前を通りすぎて行く。
ケイトのどうかつは無かった。
する必要が無かった。
(………巨人って、やっぱり憎いんだよね…)
ケイトは死んだような眼差しを浮かべていた。