皆に溺愛されている件について 【ONEPIECE 短編集】
第15章 券 【青キジ(クザン)】
*
あの時、なぜ気づかなかったのだろう。大将が目にする書類はただでさえ多く、稽古をしている暇などない。
「はぁ…。」
クザン「あらら~どうしちゃったのさ、ため息なんかついて~。」
「…いえ、クザンさんが書類整理手伝ってくれないかなぁ…と思いまして。」
クザン「え~。」
「え~って元はと言えばあなたの書類ですからね?」
クザン「う~ん……じゃあ、やるから何かご褒美くれる?」
「…ご褒美って……はぁ…何がいいんですか?」
珍しく気が向いてくれたので、その機嫌を損ねないように、嫌々ながらも要求を聞くことにした。
クザン「そうだなぁ……じゃあ、ナツキちゃんのことを1日独占できる券、が欲しい。」
「……本気ですか?」
クザン「本気よ~?」
「…私を独占して何がしたいんですか…。」
クザン「え~?そりゃあ、あんなことやそんなこと…。」
「……はぁ……わかりました、その代わり。」
クザン「!?…」
私は席を立ち、机を叩いた。
「ここにある書類、全部今日中に終わらせたら…いいですよ?」
クザン「えぇ…。」
そして彼は今、部屋に閉じこもっている。
「…」(まさか本気でやるとは…。)
真面目に書類に取り組む彼はかなり珍しいのか、センゴクやガープでさえ驚いていた。