第8章 7.5
「じゃーん」
『...なにこれ?』
「開けてみて」
窓をノックされて開けてみたら五条さん。
この人は玄関から入るのを知らないのか?色々と言いたいことはあるけど凄い笑顔で箱を見せてきたので受け取って開けてみた
『マグカップ?』
「そう」
中にはシンプルな陶器のマグカップが2個入っていた。
1つはターコイズブルー
2つめはアイボリー
『可愛いですね』
「でしょ。今度からこれにココア入れて」
『え?』
「ここに置いていくから。俺専用マグカップ」
五条さんが来ると決まって甘いココアを入れてあげていた。
マグカップは家にあるのをその時々で色々と使っていたから自分のマグカップを欲しかったのだろうか...
『わざわざ持って来なくても良かったのに』
「ん?良いの。俺はこれが気に入ったから」
『ふーん?』
「この前のバイト代の残りで買ったんだー。」
『そうなんですね。2個あるけど予備ですか?』
五条さんは気に入ったタイプは1個多めに持つタイプなのかな?
「はぁ?違うよ」
『持って帰るんですか?』
「違う」
『ん?』
「それわざと聞いてる?察してよ」
『...はぁ』
五条さんの意図が読めなくて考えながらマグカップを凝視した。
察しろ...察する...。
少し考えカップの入った箱を持って立ち上がった。
『分かりました。少々お待ち下さい。』
そう言って、部屋を出た。