第13章 11
『ありがとうございました。夏油さんのおかげでいい物が買えました。』
「いえいえ、どういたしまして」
あれから何店舗か回って夏油さんのアドバイスを聞きつつ灰原くんのお礼を買えて帰路へ着いた。
「それで、それはどうやって渡すつもり?」
『え?』
「灰原の連絡先知ってるの?」
『...忘れてました』
「だと思った。」
またすぐ会えると勝手に思ってて、連絡先も知らないしどうしようかと思っていたら夏油さんが手を差し出してきたので何かと思って見た
「私が渡してあげるよ」
『え!そんな申し訳ないです』
「いいよ、寮ですぐ会えるし」
『...何から何までありがとうございます。』
「気にしないで」
『あの、あとこれ』
そう言って、灰原くんのお礼とは別の紙袋を夏油さんに差し出した。
『前に五条さんから夏油さんが好きな物が蕎麦だとお聞きして、うちの親戚が長野の方にいるので色々と聞いて、お蕎麦のお供にと』
夏油さんのお礼に蕎麦のタレと七味とそば茶のセットを用意した。
『日持ちしますので、量もあるので皆さんで食べてください』
「ありがとう。気にしなくていいのに」
『夏油さんと灰原くんが居なかったら私一人では対処できなかったと思うので感謝してるんです。』
「そうだね」
さっきまでやたらと優しかった夏油さんのチクッとする言い方がいつもの夏油さんらしくて少し安心してしまった。
「悟が行くなって言ったのになんで行ったの?」
『あ、友達にお願いされて...心配でしたし』
「悟も君のこと心配したのに、それは聞かないの?」
『五条さんは心配し過ぎなんです。私は大丈夫なんです。』
「...ふーん」
夏油さんの追求が段々、私の罪悪感を突いてくるのが苦しくなって遮るように話を終わらせようとした。