第8章 7.5
「悟...お前のせいで結局、映画1本見送りになったじゃないか」
「あー仕方ないね、次の見るまでウロウロするか」
はぁっと溜息をつく傑を後目にどこ行くか〜とあてもなく歩いて行く。
傑と今日から公開の映画を見に来たが時間に間に合わず結局10分程、過ぎてしまった。
慣れてしまったのが傑も怒らず俺の後ろを着いてくる。
どーするかなぁー、服でも見る?
「あ、悟。ちょっとストップ」
傑に言われて止まる。
横を見ると人気のインテリアショップの前だった。
「私ここに寄りたい」
「なに?似合わないこと言うじゃん」
「実は給湯室に置いてあった硝子のカップを割ってしまったんだ」
「お前よく生きてたな」
「新しいカップを買う為に生かされてるんだよ」
「よし!それじゃあドン五条がハイセンスなカップを選んでしんぜよう」
「お前、殺されるぞ」
店内に入って食器コーナーへ行くと女子が好きそうなアンティーク調な物やピンクや白が基調の食器が多い。
「うわぁぁぁ絶対に硝子のセンスじゃねぇわ」
「うーん、でもコレなら良くないか?」
傑の手には真っ黒に三本の金色のストライプが入ったデザインのマグカップ。
「お、傑にしては良いセンスしてるじゃん」
「一言余計だよ。じゃあ、これにしようかな」
そう言うと傑はさっさとレジへ向かった。
レジへ行く傑を見て再度、食器類へ目を戻すとある物が目に入った。
すぐさまそれを手に取り傑の後を追う。
「悟...なにそれ」
「ん?俺もこれ買うの」
「悟が?」
「そう。なにか文句でも?」
「いや ...珍しいですね。」
固まる傑を後目に俺はルンルンでお会計を済ませた。