第7章 7
硝子と夏油さんが帰った後はディナータイムもあって忙しかった。
私も顔の事もあって主に裏で料理を作ってる事が多く、表にいる五条さんや父の様子はあまり伺えなかったがたまに見ると五条さんが愛想良くお客さんと話してるのを見て安心した。
「カノン、悟くん、先に上がっていいよ。」
CLOSEの札を下げた父が言ってきた。
「ガーッ!!やっと終わったァァ〜」
「お疲れ様」
『私はあと少しだからこれ終わらせてから上がるよ』
溜まりに溜まったお皿と器具を洗っていると父が机の上でダレてる五条さんの前に封筒を出てた。
「悟くん、お疲れ様」
「...なにこれ?」
「ん?今日のバイト代」
「はぁ?要らねぇよ別に」
「ダメだよ。頑張ってお手伝いしてくれたんだから、そのお礼」
「ふーん。じゃあ貰っとくわ」
そう言って躊躇なく封筒の中を除く五条さんは「え、少なっ」とビックリしていた。
「そう?普段の日給よりも少し多くしたけど」
「みんなコレより少ないの?」
「普通は少ないよ〜」
「ふーん、すげぇな」
「うん。今日はお疲れ様、助かったよ」
そう父が再度言うと五条さんは照れくさそうにした。
「まぁ、また手伝ってあげても良いけどね!」
「あ、大丈夫」
「え?」
「大丈夫です。」
「え?」
「悟くん、女の子には人気だけど男の人には最悪で大変だから」
「え?」
「だから、大丈夫」
「...」
「...」
静かな空間に私が洗う食器のカチャカチャと触れる音が響いた。