第1章 1
ドゴォン!!
カウンターで前のめりになっていた彼の前に珈琲の入ったカップを力いっぱい置いた。叩き付けたんじゃない、置いた。
『珈琲おまち。あとBLTサンド。』
BLTサンドの入った袋をドサッと少しだけ乱暴にコーヒーの横へ置いた。
『あんた、何勘違いしてんのか知らないけど』
『私は泣いてない。例え泣いてたとしても泣く事は決して無駄な事でもシラケる事でもない。泣いてる奴を馬鹿にするな。』
『お代1350円です。』
捲し立てるように言い続けたら彼はポカンとした表情を見せつつも、お金をカウンターに置いてお店を出ようとした。
『あと!』
出ていく直前に少しだけ大きな声を出して彼の動きを止めさせ、チラッとコッチを見る彼に向かって言ってやった。
『私は女だ。二度と間違えるな。間抜け。』
意地悪な顔でニヤリと笑いながら言うと彼はビックリしたままお店のドアを押して店から出ていった。
なんなんだ、アイツ。
この世にあんな失礼な奴居たのか。
本当に本当に何様なんだ
『ムカつく』