第1章 1
呆気にとられて見てるこっちを後目に『ありがとうございました。』と冷たく言い放った彼女を一瞬だけ「良いな」と思ってしまった。
ドアが完全に閉じて左手にサンドイッチ、右手にコーヒー。
本当はコーヒーなんて飲めないのにカッコつけて頼んでしまったコーヒーを一口飲む。
「にがっ」
彼女の怒りが口の中に広がった気がした。
『はぁ!?』
彼が出て行った後に片付けをして、お代をレジにしまおうと確認すると元のお代より遥かに多い金額が置いてあった。
慌ててお釣を持って外に出るがあれから数分。
さすがにお店の前に居るわけもなく行き交う人が慌てて出た私をチラッと見ては通り過ぎていった。
『どうしよう』
彼の名前も行ってる学校も何も分からず浮いてしまったお釣。
あんな態度をとってしまったんだ。
彼は二度と来ないだろう。私もできれば会いたくない。
もしかしたら父が居る時に取りに来るかもしれない...
少しの可能性にかけて、封筒に日付と適当な似顔絵を描いて(上手く描けた)お金を閉まった。
似顔絵の横に名前も分からないので一言添えた。
『ムカつく奴』