第7章 7
手を止めるとカノンちゃんは安心したのか荒れてた呼吸を落ち着かせようと胸を大きく上下させて深呼吸させた。
「ボールが当たってそんな風になると思った?ならねぇよ。それは人に殴られた跡。そんでコッチは殴った跡...なんで嘘つくの?」
カノンちゃんの手を引っ張って上体を起こしてあげて顔の傷と手の傷に触れる。
丁寧に処置をしてもらってはいるけどガーゼからはみ出した細かい傷が彼女の綺麗な白い皮膚に赤く痕を残していて憎かった。
『ごめん...なさい』
「別にカノンちゃんに怒ってない。何があって、どうしてこうなったのか言って」
観念したのかカノンちゃんは事の経由をポツポツと話し始めた。
「硝子が?」
『そう、助けてくれて傷も手当してくれて本当に助かった。』
自分でした割には綺麗な処置だなと思ったけど、硝子がやったとなるなら安心。顔のガーゼからはみ出した傷を少しだけ触れると痛かったのか少しだけ肩がピクっと上がった。
「なんで、カノンちゃんって馬鹿なのかな?」
『ん?わ、悪口ですか?』
「悪口だよ。大して仲良くない人のお願いきいて、怪我してさ...怪我って死ぬかもしれないんだよ?硝子が居なかったらカノンちゃんやられてたんでしょ?死ぬの?わざわざ他人の為に」
『そんな、大袈裟...「大袈裟じゃないよ」
カノンちゃんの言葉を遮るように言った。
人は簡単に死ぬ。
外傷が少なくても中がやられれば一発。
外傷が多くても一発。
脆いんだ。
カノンちゃんの目を真っ直ぐ見て言うとカノンちゃんは申し訳なさそうに目を伏せた。
「カノンちゃんが死んだり傷付けられたら俺そいつら殺しちゃうよ」
『そんな...酷いこと言わないで下さい。』
「じゃあ、もう無茶しないでよ」
『...考えときます。』
「ん、考えといて」
本当に分かってるのかな?
カノンちゃん頑固だから聞かなそう〜でも、これ以上ややこしくしたくないし、何よりさっさとコレをどうにかしたい
「じゃあさ、話も分かってくれたって事で...脱いで」