第7章 7
「おい」
『...』
誰かの声が聞こえる。。。
瞼が重くて開かない。さっきまでメールしてたの...誰だっけ?
「おーい」
『ん〜、拓海?』
「...は?」
なんだろう、香水?...いい匂いだなって最近も思った...って!!
匂いの記憶ってすごい、さっきまで開けられなかった瞼が一瞬にして開いて、脳も一瞬にして覚醒した。
目を覚まして起き上がろうと上半身を起こすと目の前に私に跨っている五条さんが居た。
サングラスは外してるせいか、綺麗な目が露になっているが目つきが鋭い。
「おはよう」
『...おはようございます...』
なんで家の中に居るんだ?
あ、窓開けっ放しだった!と思った時にズボンを脱いだままなのを思い出して、着ていたシャツを限界まで引っ張った。
拓海のシャツなので少し大きくて見えていないが結構ギリギリだ。
シャツの裾に気を取られていたら突然肩に手が触れたかと思うと力いっぱい押されて、また布団に沈んだ。
状況が分からず起き上がろうとしたいが肩に置かれた五条さんの手が邪魔で起き上がれない。
「なんっちゅー格好してんの?」
『待って待って!!』
そう言って五条さんの手が脚を撫で上げてきたので慌ててその手を掴むがすぐ振りほどかれてしまって逆に手を掴まれてしまった。
肩に手にそれぞれ掴まれて全く動けない。
「んで?」
『え?』
「そのシャツなに?男もんだよね...なんで着てるの?あと顔も誰にやられた?この手は足は?話せ」
『うぅっ、』
五条さんに掴まれた肩と手にグッと指がくい込んだ、痛い。
『こ、これは借り物で、友達にお願いされたので着たんです。顔は授業中にボールが当って転けてしまったんです...』
咄嗟の事で殴られた事なんて言えずに嘘をついてしまった。
怖て五条さんの顔が見れずにいると、五条さんは黙ってしまった。
「そっか、分かった。」
『って、ちょっと待って下さい!!』
納得してくれたのかと思ったら肩にあった手を外されて、両手を頭の上で五条さんの手で抑え込まれた。片手なのに五条さんの手はビクともしなくて、この細い身体のどこにそんな力があるんだと思ったら突然、シャツのボタンを片手で器用に外し始めた。
「なんで嘘つくの?バレないと思った?ふざけんなよ」
『ち、違う!お願いだから本当に手ぇ止めて!』