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コーヒータイム【五条悟】※修正有

第6章 6


『お待たせしました。』
「ありがとう」

白いカップに注いだ珈琲をカウンターから出せば夏油さんは一言お礼を言って受け取ってくれた。
ここ最近、足繁く通ってくれる夏油さん。
最初の頃こそお互い話す事もないのか珈琲を渡して私は仕事して、夏油さんは小説を読みながら珈琲を嗜むだけだったが通う回数が増えるうちに少しづつだが夏油さんとも会話が増えてきた。

『夏油さんは珈琲お好きなんですか?』
「ん?なんで?」
『うちに来るといつも珈琲なので』
「あぁ、別に珈琲が1番好きなわけじゃないよ」
『そうなんですか?』
「うん。本当は緑茶が1番好き」
『はぁ〜』
「ポイでしょ」
『ポイですね。』
「ちなみに悟は甘党だからドブ甘のココアが大好きだよ」
『はは、そうなんですね...凄いですね』

夏油さんとの会話で困るのがたまに出る『悟』の話だ。
あの時以来、五条さんには会ってない。
何度か電話があったが出れずにいた。
こうして五条さんと会わずに過ごしていると自分の気持ちもコントロールできて心穏やかに過ごせている。
五条さんを思い出す時間も減ってきたのに夏油さんからたまに聞く『悟』の話をされるとまた鮮明に五条さんを思い出してしまって、つい返答に詰まってしまう。

「悟とはもう会わないの?」
夏油さんが核心をついてきた。

『ずっと、それを聞こうとしてました?』
「いや、いつまで経っても悟の話をふると不自然な返事しかできない武笠さんのことを気になっていたけど今日はおじさん居ないから聞こうと思ってさ」
『そうですか』
「うん。で、どうなの?」
『...』
「まぁ、私はどちらでも構わないけど」
『すみません』
「うん。では、珈琲の御礼として一つだけ教えてあげよう。」
『はい?』
「そのうちきっと悟とは会えなくなるよ。だから、会いたいと思えるうちにたくさん会っておいた方が良いよ」
『会えなくなる?』
「うん。絶対に」

絶対に会えなくなる?なんで?疑問点ばかりの教えを伝えると夏油さんはいつの間にか珈琲を飲み終わってて「ご馳走様。またね」と言って帰って行った。
絶対に。久しぶりに胸の奥が苦しくなった。
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