第5章 5【name#4設定推進】
『ぢょ、なんで!!ゴホッゴホッ』
「あら〜ほら、大丈夫?冷えるからお家入って。」
『待て待て待て待って!何入ろうとしてるの!!』
帰ったハズの五条さんが扉を抑えていて、むせこんでしまった。
むせこんでる私の肩を支えながら一緒に家に入ってこようとしたから扉を掴んで五条さんを押し出そうとするが五条さんの足と手で扉を抑えてるので閉められない。
「だって、カノンちゃん開けてくれないからさ〜」
『だから、開けられないって言ったじゃないですか!離して!』
「カノンちゃん!カノンちゃん!!」
『なに!?』
「あまり大きな声出すとご近所さんに迷惑だよ」
『誰のせいだよ!!』
「ほらほら、悪化したら大変!お家に入りましょ。」
『だから、入らないでっ!!』
最後の言葉も虚しく、五条さんは私を押し込んで家の中に入ってきた。
「思ったより元気そうで良かった」
『...』
五条さんはそう言うと慣れた足取りでリビングへ行ってしまった。
とりあえず、後をついてリビングへ行くとソファーに座ってテレビをつけて五条さんが持っていた袋を開けると見慣れたテイクアウトボックスを取り出した。
『それ』
「これ?おじさんがそれと一緒に渡してくれた。コッチは俺のでコッチはカノンちゃんの」
スープストッカーの蓋の上には父の字で「カノン」と書いてあった。
蓋を開けてみると温かいお粥が入っていた。
お粥を見たせいか3日もまともに食べないのもあって、胃が空腹でキュッとなった。
「一緒に食べよう」
五条さんが自分の隣をポンポンと叩いて言ってきたが、まだ完治してないしお風呂に入ってないので隣には流石に座れない。
『私は自分の部屋で食べます。』
「じゃあ、俺も行こっと」
『ダメです!』
「なんで?一緒に食べた方がイイじゃん」
『だから私は完治してないって!お風呂も入ってないから近付きたくないって』
さっきから話を聞き分けてくれない五条さんに声を張り上げ過ぎたせいか突然、頭がフワッと浮く感覚が起きて瞬間に『立ちくらみだ』と分かって、机に手を付いてなんとか体勢を保った。