第5章 5【name#4設定推進】
あれから数日経って、また俺はお店の前に居る。
窓から中の様子を見ふとカノンちゃんは居なく、おじさんがカウンターに1人で居た。
俺に気が付くと手を挙げた後に手招きをしてくるので、渋々とお店の中に入っていった。
「お久しぶり」
「ねぇ、カノンちゃんは?」
おじさんの挨拶への返事も満足にせず間一髪にカノンちゃんの事を聞く。
「聞いてない?インフルエンザ」
「は?」
おじさんの言葉にビックリした。
あの時は元気そうだったのに...
「聞いてない?」
「アドレス知らねぇし」
「そうなの」
それだけ言うと無言。
何かを考えたのかおじさんがカウンター下をゴソゴソしだした。
「ねぇ」
「なに?」
「暇?お使い頼まれてくんない?」
「なんで、俺が」
「おじさんまだお店空けられないから、これ家まで運んであげて。」
そう言うとおじさんが出したのはコンビニの袋に入った清涼飲料水数本とゼリーが何個か入っていた。
「...家って?」
一応、確認してみる。
「おじさん家」
「おっさん。大丈夫?」
「なにが?」
「1回しか会ってない他人にお願い事する?しかも病気の娘が居る家に荷物届けろとか、ヤバくね?」
「大丈夫だよ」
「なんで?」
「...なんとなく?」
「答えになってねぇし」
「一緒にご飯食べた仲だろ。」
「は?意味わかんねぇ」
「で?届けてくれんの?くれないの?」
袋を目の前に差し出してきて、じっと俺を見るおっさんにペースを崩されて仕方なく袋を受け取った。
「今度、コーヒー奢ってやるよ」
「俺は甘党だ。」
「そっ、よろしく」
店を出るとあの日以来、行ってないカノンちゃん家と向かった。