第1章 1
雪の妖精またの名を雪のやから、五条悟。
「あーん、ちこく。ちこくー。」
言葉とは裏腹にゆっくりと歩くその姿は決して急いではいなかった。
同級生の夏油傑と家入硝子と駅前で16時半に集合と言われていたのに今まさに集合時間の16時半。
時間にルーズなのはいつもの事なので気にしない。
ただ、今日の天気予報は晴れと言っていたのに雪。
しかも結構なドカ雪。
あー、マジでめんどくせぇ。
てか、今回の任務、俺行かなくても傑が居れば良くね?
硝子も居るんだし。
てか、帳も自分たちで降ろすから〜電車乗ってこ!帰りにカラオケ行こ!
青春したーい!なんてほざいたの誰だよ?←俺だ。
マジで雪なんか降る予定じゃなかったし
なんで、雑魚の為に俺がわざわざ急がなきゃいけねぇの?
え、やば、考えてたらめっちゃだるくなってきたわ〜
めっちゃムカつくわ〜
だりぃし帰ろっかな〜と考えつつ大きな背中を少し丸めながら駅へと一歩一歩進んでいくと、ふと目の端に青い壁が見えたのでパッと目線を上げると店内が一望できる窓に店内のカウンターから眉間に皺を寄せて何かにお祈りをする人の姿が見えた。
人の神頼みの姿って本当に間抜けだなぁと見ながら歩いてたら不意にソイツが目を開けてコチラをパッと見るもんだから、どんなツラか拝んでやろ〜と根性悪な自分が出てきた。
顔を上げた間抜けな奴は真っ黒な髪の間から伏せられた長い睫毛をスっと起こすと閉じてた目からは想像がつかないくらいパッチリとした大きな目にすっと通った鼻筋、薄く形の整った唇は一文字で閉じていたがきっと開いても綺麗な唇なんだろうなと優に想像できる。
まさか人が見てると思わなかったのかその顔はギョッとした顔を俺に印象付けたまま見えなくなった。
綺麗な顔だったな。男?女?どっちだ?
本当に間抜けなツラしてたな。
神頼みなんてして、神様なんか居ねぇよ。
俺たちじゃなくて神様に頼りやがって、本当に
「ムカつく」
待ち合わ時間に着いたのは16時48分
傑も硝子も居なかった。
置いてかれた。...ひでぇ。