第4章 4
「これ、巻いてくれる?」
『え?』
「寒いから早くして」
下を向いてる彼女の前にストールを出した。
彼女は慌てて受け取ると一生懸命、背伸びをして俺の首にストールを掛けて
慣れない手つきでモタモタしながらストールを巻いて俺の前でストールを結んだ。
『できました。』
そう彼女が言ったと同時に彼女を抱き締めた。
彼女はまた固まってしまったが家の前なのもあってか、先程より強く抵抗してきた。
『ちょっっと!離して下さい』
「...今、暴れたらキスするぞ」
そう言うと彼女は直立不動になった。そこは暴れろよ(笑)
「ありがとう」
『...』
「カノンちゃんが気に入って選んでくれたの、めちゃくちゃ嬉しい」
『...どういたしまして』
そう言って、抱き締めてた彼女を解くと照れてる顔を見られたくないのか真っ赤な顔を伏せっていた。
「ねぇ」
『はい?』
「キスしていい?」
『え!?』
彼女の顔を覗きこみながら聞くと、真っ赤だった顔を更に真っ赤にして顔を勢いよく上げたからチャンスと思って彼女の肩に置いてた手に力を込めて顔を近付けた。
「ダメだよー。お家の前でそんな事しちゃー」
そう言って、玄関の門をガチャガチャと開ける人が居た。
カノンちゃんのお父さんだ。
俺の肩越しに父親を確認したカノンちゃんはすごい力を込めて俺から離れると『おかえりなさい!!』と大きな声で父親を迎え入れてた。
オッサン!空気読めよ!!(笑)
「ご飯食べたか?」
『うん、五条さんはこれから帰るところ』
「そうか、仲直りはしたか?」
『え?』
「腹一杯食べたら怒りも収まるだろ。」
『う、うん。』
お店の前で騒いでた事を言ってるんだろう。
オッサンなりの気遣いか。
「五条くん」
オッサンが声を掛けてきた。
「いつでも、ご飯食べにおいで。」
「あ、あざーす。」
「じゃあ、先に家入ってるから」
『あ、はい。』
そう言ってオッサンは家の中に入っていき、何とも言えない空気が漂ってしまった。