第4章 4
「じゃあ、そろそろ帰るわ」
五条さんがそう言うので時計を見るといつの間にか父が帰ってくる時間が迫っていた。
『え!もう!?』
「え♡泊まってほしい?」
『違う!!』
いつの間にかこんな時間経ってた事にビックリして、彼は寮なのに門限は大丈夫なのかと心配したらいつもの調子なのできっと大丈夫なのだろう。
慌てて彼の上着を出して、肩に掛けた。
『早く帰って』
「ちょ、言い方よ(笑)」
『だって門限が!!』
「あー、大丈夫。門限なんてあってないようなもんだから」
『え?不良...?』
「違ぇよ、裏道知ってんの。」
彼が上着を着てる間に彼の荷物を持って、玄関で待っていると彼がゆっくりと上着を着て来たので、玄関を開けた。
昼間も随分と寒かったのに、気が付いたら真っ暗な空から白い雪がゆっくりと舞い降りていた。
いつから降っていたのか、足元は薄らと雪が積もっていた。
『雪だ...』
「マジだ。今年は珍しく東京でも頻繁に雪降るねぇ〜さみぃ」
五条さんが首を窄めながら玄関を出ると私も続いて出た。
「あ、寒いからここまでで良いよ」
『あ、えっと、違うんです。』
「ん?」
『あの、これ』
「?」
彼の前に紙袋を出す。
鋭い癖に何故この時だけ鈍いのか、彼は珍しく頭を傾げた。
『お、誕生日プレゼントです。遅くなってすみません。』
「俺に?」
『はい』
あれ?私が思ってた反応と違って、彼は静かだった。
実は嬉しくないし、なんなら「要らない」と思ってるかもしれないし「プレゼントなんてうぜぇ」と思ってるかもしれないと思ったら『失敗した...準備しなければ良かった』と後悔してた。
「その袋...今日、行った店のだよね?」
『え、あ、はい。事前に準備できなくて...お店で見た時に凄く良かったので...』
「開けて良い?」
『こ、ここで?』
「そう。」
『どうぞ』
そう言うと五条さんは包みを開けて、中からクリーム色のストールを出した。
私が最初の店で見つけたストール。
柔らかくてカシミヤだから肌触りもよく暖かく保温性もあって、いつも薄着の五条さんにピッタリだと思った。
「これさ、カノンちゃんが選んだの?」
『え?そうです...』
「気に入ったからって言ってたのこれの事?」
『えっと、そうです。。』
センス無かったのかな?
怖くなって下を向いてしまった。