第4章 4
「ドア壊れちゃうよ」
こんだけ騒いでたら出てきますよね。
父だ。
『お父さん』
「あ!お父さんなの?はじめましてー」
青ざめる私とは対照的に五条さんは満面の笑みで挨拶をした。
「はじめまして、夕食は?」
『え?えっと...これから』
「五条くんも?」
『あ、うん。多分』
「家帰って食べなさい。五条くんも大したものじゃないけど良ければ食べて行ってください。」
『え!?』
「うわー良いんですか?お言葉に甘えさせていただきます♡」
『待って!お父さん!?』
「21時には帰るから、気を付けて帰りなさい。五条くん、ゆっくりしていって下さいね。」
「ありがとうございまーす」
私の話も聞かず、父は言うだけ言うと扉の鍵をしっかり閉めた。
「じゃあ、行く?」
『...』
さっき迄の空気を無視して笑顔で話し掛ける彼をまだ許せなくて、横目で彼をひと睨みして無言で家まで歩き始めた。
彼も察したのか横には並ばす半歩後ろを着いてきてる。
本当に来るんだ。
お父さん何考えてんの?
知らない男と娘を2人きりにして心配にならないの?どうかしてる。
早く帰って欲しい。
そんな事を考えてたらあっという間に家の前。
彼は帰る素振りも見せずに私がドアを開けるのを待ってる。
諦めてドアを開けると彼は躊躇なく「お邪魔しマース」と家上がってきた。
リビングに通すと彼は物珍しそうに家の中をキョロキョロと見回していた。
『上着、ハンガーに掛けるので預かります。』
「あ、ありがとー」
自分の上着を先にクローゼットのハンガーに掛けて、彼の上着を預かってハンガーに掛けた。
流石、男物。ロングコートもあってか重い。少しだけ力を込めてクローゼットの中のラックに掛けるといつの間にか私の真後ろに彼が立っていた。
クローゼットと彼に挟まれてしまった。