第4章 4
そう言うとカノンちゃんは俺が見てるとは思わなかったのか、俺を確認すると急いで靴を脱いでしまった。
「なんで脱ぐの?似合ってたのに」
『いえ、もう確認したので』
「気に入らなかった?」
『いえ!靴は素敵でした!ただ、自分にはやっぱり似合わなかったので...すみません。戻しておいてください。』
店員に靴を返して、元の靴に履き替えたカノンちゃんは少しだけ顔を伏せたまま『お手洗い行ってきます。』と言って、お店から出ていってしまった。
急な彼女の態度に店員も気に障るようなことを言ったのではないかと慌ててたので「気にしないで」とだけ言った。
お店を出るとカノンちゃんも戻ってきたので「お茶にしよ」と声を掛けて近くの店に入った。
店内の席へ案内されると先程の靴屋での事もあったせいか、全く会話もなく2人でメニューを黙って見ていた。
「あれ?武笠さん?」
「え?あ!ホントだ!武笠さんじゃん!」
2人でパッと顔を上げると同年代の女の子が4人、カノンちゃんの同級生なのか声を掛けてきた。
一瞬、カノンちゃんは気まずそうな顔をしたがすぐにニコッと笑ってその子達と話してた。
『こんにちは』
「え!てか、誰そこの、イケメン!?」
「え?彼氏!?」
「うそ!?武笠さん彼氏居たの!?」
キャーキャーと甲高い声で騒ぐ4人に静かにしてとジェスチャーをしながらカノンちゃんは『違うよ』と答えた。
『知り合いなんだ、すぐそこで会ったんだよ。』
「なんだー!ビックリした!」
「でも武笠さんが彼氏連れてたらどっちが彼氏か分かんないじゃん(笑)」
「てか、彼氏作ったらうちらの王子消えちゃうじゃんね(笑)」
「確かに!でも姫作られるよりはマシか(笑)」
好き勝手言われてるのにカノンちゃんは『そんな事ないよ』とずっと同じ笑顔を貼り付けたまま話して、4人は帰ってった。
『騒がしくてすみません』
「いや、てか、なにその嘘」
『え?』
「俺達デートしてんじゃん。なんで言わないの?」
『そんな事、言わないですよ普通』
「てか、さっきの女達もなんだよ。どっちが彼氏か分かんない?どう見ても俺が彼氏だろうが。テメェら目ん玉節穴かよ。」
『やめてください。同級生の悪口言わないでください。』
「あ?」