第1章 1
お昼過ぎ、ランチタイムのピークが過ぎ去りお客さんが一気に居なくなって、ひと段落したのを見計らいお父さんはお母さんのお見舞いに行った。
私も店内の片付けを終えて、一息つき自分で入れた珈琲を飲みながら読書タイムに勤しんでいた。
パチパチパチッと乾いた音だけが鳴る店内で、小さな文字を追うのを一旦止めて珈琲に手を伸ばし店先が見える窓をチラッと見ると、さっきまではパラパラと降っていた粉雪が知らぬ間に大雪となって、店の周りを白銀の世界へと変貌させていた。
『...今日って雪予報でしたっけ?』
誰に聞くまでもない。ただの独り言は虚しく店内に響き、パチパチパチッと薪ストーブだけが応えてくれた。
ちなみに今日の天気予報は「晴れ」だ。
『今日の星座占い、1位だったのにな』
これ以上、降るなら父のいぬ間に私は重労働の雪掻きをしなきゃいけなくなる。なんとしてでも、雪掻きは避けたい。
頑張れ、私の星座!頑張れ私の運勢!!
ぎゅっと目を瞑って祈りを捧げて
パッと目を開けた