第3章 3
「疲れたー。もうヤダー。動きたくないー。」
俺の呪術師としての仕事が年末に向けて繁忙期に入った。
呪霊自体は全然、強くない。
俺と傑でパパパっと片付けられるのに、繁忙期。
次から次へと湧いてくる呪霊に正直、疲れてる。
「まぁでも今週さえ乗り切れば俺たちも少し休めるだろ」
「にしても多いよ。割に合わん。」
お陰様であれ以来、カノンちゃんには会えてない。
このままいくと次に会えるのは年明けかな〜まぁ仕方ないか〜なんて考えていたら向かいの道を歩く高校生の群れが現れた。
あぁ、この時期は一般の学生達はテスト期間で早帰りなのか〜
はぁー能天気でムカつく。俺と変われや。とイライラしながらその群れを見てると、へのへのもへじの顔の中にカノンちゃんが見えた。
やる気のなく、死んだ魚のような目がカノンを見つけるといつの間にか大きく開いてその姿を目で追った。
「傑...少し用事できた。」
「は?なんだよ突然」
「こっち!付いて来い!」
「悟!?」
向かいの道を歩いてくカノンちゃん。
友達と話してるからコチラには気付かず。そのままファミレスへ入っていった。
その光景を眺めていると傑が俺の後ろから顔を出し、同じ光景を眺めていた。
「あの子、知り合い?」
「うん」
「前に話してたコーヒーちゃん?」
「...」
「おーい、悟」
傑の言葉に返事はせず代わりに道を渡って、カノンちゃんが入ってったファミレスへ入ってく。
傑は何も言わず、半ば呆れた顔で付いてきた。
店内へ入るとお昼時でごった返してる中、店員が「何名ですか?」と近付いてきて傑が応えてくれてたが、すぐにカノンの後ろ姿を見つけたので俺が席の方へズカズカ入っていくと慌てて傑が「知り合い居るのでそこに座ります。」と言ってくれた。
偶然を装ってカノンちゃんを驚かせよ〜って、意地悪な事をしようと近付いたらカノンちゃんの友達が「彼氏欲しくないの?」と聞いていた。