第2章 2
「名前...名前教えてくれたら許してあげる」
前に教えてと言われて、こんな性格の悪い奴には教えたくないと断った名前。教えるタイミングを逃してて、彼が呼ぶ「コーヒーちゃん」を特に気にせず流していた。
『名前でいいんですか?』
「エッチなお願いでいいんですか?」
『カノンです!!』
彼が真顔でアホな事を言ってくるので、被せるように伝えた。
「カノンちゃん」
『はい』
「カノンちゃん」
『なんですか?』
「カノンちゃん」
『だから!なんですか!?』
「可愛い名前だね」
何度も呼ぶ彼にイライラしてたら、普段の意地悪な彼からは想像がつかない位に優しい声で言ってきた。
「俺の名前も呼んでよ」
『なんでですか?』
「俺の名前呼んでくれたことないじゃん」
不貞腐れて言う彼に『呼ぶ機会もないし、そこまで会ってないだろ』とツッコミたかったが面倒臭いので黙っといた。
早く早く〜と顔覗きながら急かしてくるので、サッサと言いたいがいざ急かされると言いづらい。。。
『ご、五条さん』
「...それ、名前じゃなくて苗字ってゆーんだよ。分かってる?」
『分かってますよ』
「じゃあ名前。呼んでよ。」
『そ、こ、は、ちょっと〜』
「なに?」
なんて言って逃れようか困ってるとマナーモードにしていた携帯がポケットの中で震え出した。
父からの電話、病院を出たら連絡すると言ったのに連絡しなかったから心配して電話を掛けてきたんだ。急いで電話に出る。
『も、もしもし!』
「カノン?もう病院出たか?」
『ごめん連絡しないで、もうだいぶ前に出たよ』
「わかった。今日はそのまま家に気を付けて帰りなさい」
『うん、わかった。帰り着いたらメールだけ入れとくね。』
「よろしく」
『はーい、じゃあ頑張ってね』
電話を切ってポケットにしまった。
「...彼氏?」
『父親です!!』
なんで、さっきから変な事ばっか言ってくるかな!!
この人と話してると本当に調子狂う〜。