第13章 11
「あ、五条さん」
「灰原じゃん、おつー」
「お疲れ様です。」
寮の自販機の前で何を買うか悩んでいると、任務から戻った灰原と会った。灰原は今日、傑と一緒の任務じゃなかったっけ?
いつまでも出てこない傑に不思議に思い灰原に聞いてみた。
「傑は?」
「夏油さんはまだ廃墟の片付けで僕は廃墟に来てた民間人をお家まで送ってきました!」
「民間人を?わざわざ?」
傑と灰原が行った廃墟は確か肝試しスポットとして有名で民間人が居てもおかしくはない。ただ、民間人が居たとしてそれは補助監督にまかせればいいのに、なぜ灰原が送り届けたのか
「たまたま居たのが夏油さんの知り合いだったみたいで、頼まれたので送ってきました!」
傑の知り合い、民間人、廃墟...
灰原の言葉にふと先日そんな話をした彼女の事を思い出した。
『断りました。』
と言っていた彼女を思い出してピッと押してしまった自販機からガタッと大きな音を立てて飲み物が出てきた。
出てきた缶をグッと握りしめて隣にいた灰原に渡した。
「灰原、あげる」
「え!良いんですか!?ありがとうございます!!」
「ちなみにその人の名前とか覚えてる?」
多分、絶対に彼女だろう。
「カノンさんって言うんですけど五条さん知ってます?背が高くて髪も短くて綺麗な人でした!」
「やっぱり」
「ん?」
「いや、なんでもないよ」
不思議そうに俺の返事を聞いてた灰原を置いて部屋に戻ると缶を開けた灰原の悲鳴が後ろから聞こえた。
あ、握った時に圧かけすぎた。