第13章 11
あまりいい雰囲気では無いなとは思ってたけど本当に大丈夫なのだろうか?雰囲気のせいと夜の日の当たらない冷たさに少しだけ肌寒く感じる。
端に避けてみんなの帰りを待つ。
携帯を見ると時刻は21時。
五条さん、今日は来ないって言ってたけど本当に来てないよね?嘘をついた事で不安になりつつ佳奈子に言われた「ヤッて合わなければブッチ」が頭から離れない。
本当にそれならどうしよう...ヤッてもないけど、自分の体に自信が無いからこそ、そうなってしまうんではないかと落ち込んでしまう。
ため息が止まらない。
...何時まで経っても物音?声すら聞こえない。
入口を見るけど誰の姿もない。みんな入ったよね?
携帯を見る、9時20分。まだ出てこないの?
電波はある、佳奈子に電話を掛けてみた。
“おかけになった電話番号は電源がはいっていないか...”
あれ?充電切れた?
どうしよう...心配し過ぎかな?
あと10分だけ待ってみよう。
携帯を見つつ、早く30分になるのを待つ。
妙な胸騒ぎのせいか自分の心音が嫌に耳に響く。
誰か一声あげてもいいと思うのに誰の声もしないなんて...
懐中電灯の光も外に漏れてない...少しだけ不安になっていた。
「あれ?」
突然、後ろから聞こえた声に肩が跳ね上がる。
「こんな所で何してるの?」
『げ、夏油さん...』
なんで夏油さんがここに?
突然あらわれた夏油さんにビックリしていると夏油さんはこちらを見て口を開いた。
「肝試しでもしてるの?」
『あ、友達が肝試しに行ってて...私は待ってます。』
「ふーん、意外だね」
『え?』
「そんな事に参加する様な子には見えなかったから。悟は何も言わなかったの?」
『あ、五条さんには行くなって言われたんですが...友達が心配でやっぱり置いて行けなくて』
刺々しい物言いと後ろめたさから少し言葉が詰まってしまう。
黙った私と建物のを見た夏油さん。
夏油さんの全てを見透かすような冷たい眼は少し怖くて目を逸らしてしまった。