第13章 11
「まぁ、とりあえずさ」
そう言って五条さんもベッドに腰掛けてきて後ろから私を抱きしめてきた。
さっきの事もあってから体に力が入ってしまう。
「俺にとってはカノンちゃんも魅力的な女の子なんだからさ、そこは行かないで断って」
『え、でも断ったら』
「断らないならさっきの続きしよ」
『断ります』
服の中に手がまた入ってきたので慌てて掴んで止めた。
「じゃあ、今すぐ断って」
『え』
そう言って五条さんが渡してきたのは携帯。
断りのメールを送れって事だろう...下手な事をされる前にサッサと送っておこう。
五条さんから携帯を貰って友達に『ごめん。やっぱり行けなくなった』とだけ送った。
『送りました。』
「うん、じゃあ続きしますか」
『は!?断ったじゃないですか』
「断ったね、だから続きしようって」
『ダメ、待って!』
“ニャオォーン”
ベッドの上で押し倒されて、抵抗しようとしたら五条さんの背中の上にワタルが乗っかって大きな声で鳴いた。
「...」
『...』
“ンニャー”
『...ブブッ、すみません...』
「...はぁ、もういい。」
そう言うと五条さんは私の上から退いた。
申し訳ないことしたなって思いつつも、先程の空気感が無くなって安心した。
おかしくて笑いが止まらなくて顔を抑えてしまった。
見かねた五条さんが腕を掴んで起こしてくれた。
「笑いすぎ」
『す、すみません。』
「今度から猫は入れないで」
『それはワタル次第です』
「じゃあ、猫が来なければ最後までしていいの?」
五条さんの言葉に固まってしまった。
ワタルが来なければ最後までしていいのって、“最後”までってあの“最後”って事?
むしろ、ワタルが来なければさっき“最後”までしてたって事?