第12章 10
『もしもし』
「ねぇ!ちょっとー!」
『ゴメンね!実はあの後、色々あって』
「淳さんから聞いた!むしろ私こそ本当にゴメン!無理矢理つき合わせたのに放置してマジでゴメン〜」
『全然!また、佳奈子もどうなったか教えてよ』
佳奈子と話してると左手に何かが触れて、見てみるとメールが終わった五条さんが手を握ってこちらを見ていた。
『またメールするね』と言って、急いで電話を切った。
『お待たせしました。』
「んにゃ、別に」
そのまま何も言わずに手を繋いだまま駅のホームへと入っていく。
なんか、なんか、話さなければ...
「あのさ」
『はい!』
何を話そうか考えてたら突然、五条さんから話しかけてきたからビックリして大きな声で返事をしてしまった。
「良い返事だね」
『...なんですか?』
「今度、水族館行く?」
『今度ですか?』
「そう」
『...行ってくれるんですか?』
「それ、俺のセリフ。行かない?」
『行く、、ます!』
「ます?(笑)じゃあ決まり。行かないったら俺ん家でも良かったんだけど」
『五条さん家ですか?寮でしたよね?』
「寮とは別に家くらいあるよ(笑)」
家ってことはご実家か...
「気になる?来る?」
『行きません!』
意地悪そうに聞いてくるからついつい売り言葉に買い言葉。
「いいよ、すぐじゃなくて。また機会あれば」
『...』
五条さんはそう言ってくれて、私もそう遠くない未来に気持ちが高揚した。