第12章 10
「まさかのね」
『スミマセン』
「いや、仕方ないよ」
駅のホームで路線を確認しながら歩く。
あの後、五条さんと2人の元へ行くと父は困った顔をした。
「困った...」
『ん?何が?』
「軽自動車なの」
『うん?』
「トランク小さくて一席潰さないと乗せられないのよ。今日、大量だから」
『はぁ〜、そういうことね』
「そ、そういうこと」
回りくどい言い方するな!
要は車に乗せられないから電車に乗って帰ってねって事だ。
まぁ五条さんと夏油さんは父に無理矢理連れてこられた側だから乗せないワケにはいかないもんね。
『じゃあ、私は電車で帰るのでお父さん気を付けて帰ってね。五条さんと夏油さんも今日はありがとうございました。』
2人に頭を下げてお礼を言って、駅へ向かおうとすると腕を掴まれて前に進まなかった。
掴んだのは五条さん。
「女の子1人は危ないでしょ。俺も電車で帰る」
『え!』
「オッチャン、傑あとヨロシク。俺とカノンちゃん電車の時間あるし先に行くわ〜」
「悟くんヨロシク」
「悟、気を付けて帰れよ」
「はいはーい」
五条さんに引きずられて、父と夏油さんの元を後にする。
五条さんは硝子にメールをしてるのか携帯を弄っていた。
五条さんが携帯を触っていたので自分の携帯を確認すると佳奈子からメールと電話が入っていた。
自分の事で一杯になってたせいで、すっかり忘れていた。
慌てて、佳奈子に電話を掛けるとすぐに出た。