第2章 2
『それじゃあ、行ってきます』
「行ってらっしゃい、気を付けてな」
今日は私が母のお見舞いに行く日。
父が準備してくれた荷物を片手に母のお見舞いが終わったらそのまま家に帰るので自分の荷物もあって、肩に重みがズシッと乗る。
お店を出て、歩き出そうとしたら
「あれ?どっか行くの?」
って、本当にタイミング悪い時に来るなぁ〜。
五条悟が居た。
『...あなたには関係ないでしょ』
「せっかく来たのにー、居ないなら来た意味ないじゃん!どこ行くの?」
この人...人の話聞いてないのか?
同じ質問を繰り返してくるのでシカトして歩き出すと、後ろから付いてきた。え...なんで???
『あの、』
「んー?」
『なんで付いて来るんですか?』
「別に付いてってないよ、俺もこっちに用があんの」
あからさまな嘘に問い詰めてやろうかと思ったがこちらを見ずに携帯を弄りながら歩いてる彼を相手にするだけでも無駄だと思い、それ以上は何も言わずに黙って歩き進めた。
赤信号に引っ掛かり、重たい荷物を肩に掛け直すと横に並んで信号待ちをしてた彼が不思議そうにコチラを見ていた。
「何が入ってるの?」
『え?...色々です。頼まれ物です。』
「重たい?」
『それは、まぁ、少し』
「ふーん」
脈絡のない会話に疑問符が浮かび上がっていたら、信号が青になった。
途端に手に持っていた袋を彼が私の手から少し乱暴に取った。
『え!?ちょっと!!』
「持ってあげる」
『え!!いいです!いいです!自分で持ちます!!』
コッチが全力で遠慮して、彼から荷物を引き離そうとしてるのに細い見た目とは裏腹にどこからそんな力があるのか!荷物から全然、手を剥がせられない。
『本当に大丈夫なんで!!返してください!!』
「んー、ダメ。」
『ちょっと!!』
「コーヒーちゃんはさ、女の子なんだからこーゆう時は素直に男に甘えなさいよ。」
信号が変わると私の頭をポンポンと軽く叩いてサッサと歩いて行った。
私は私で彼の言動に衝撃を受けていた。
初めて異性に「女の子なんだから」と言われた。